コンポジットレジン修復法
歯牙欠損の修復に際して、有機複合材料として歯冠色に近似したコンポジットレジンで欠損部を補うものである。近年、日本では行われなくなってきたアマルガム修復法などと替わり、歯冠修復の重きを成している。
概要
かつては歯冠色修復法としてシリケートセメントが20世紀初頭から利用されていたが、物性その他に問題が認められた。1940年代にはメチルメタクリレート(MMA)系即時重合型レジンが用いられていたが、歯質の充填材料としては充分な性質を具備しておらず、特に合成樹脂であるレジンの熱膨張係数の大きさや強度の不十分さが問題となった。そこで、レジンの中に無機質のフィラーを配合することによって問題の解決を図った複合材料であるコンポジットレジンが誕生した。 当初はレジンとフィラーが化学的な結合を持っていなかったために、フィラーの脱落等による磨耗や色素沈着が見られた。しかし1962年に米国のR.L.Bowenがシランカップリング処理によりフィラーとレジンの化学的な結合を実現させ、1964年には世界初のコンポジットレジン製品Addent35が米国3M社より発売された。またコンポジットレジン修復法の治療法としての定着には、1955年のM.G.Buonocoreによるエナメル質のエッチングによる歯質接着性の改善も大きな役割を負っている。
日本においては総山孝雄らのトータルエッチング・ボンディング法が提唱されたことによっても研究開発、臨床応用が盛んになり、アマルガム修復法からコンポジットレジン修復法に治療の主軸が替わっていった。これによってG.V.Blackによる窩洞形態の分類は過去のものになりつつある。
エナメル質との接着
処理面に隙問なくボンディングレジンが侵入硬化して、嵌合効力を発揮することにより強大な保持力が発揮されると考えられている。
エナメル質表面が極性化されることや、ボンディングレジンの歯質親和性がレジンとエナメル質との濡れ性に影響する。
また、セルフエッチングプライマーによる脱灰効果はリン酸と比べるとマイルドであり、凹凸形成は軽度である。ポンディングレジンの性能向上により、このような処理面にも高い接着強さが得られることが確かめられている。
象牙質への接着
現在行われている象牙質との接着は第3世代接着システムと分類される。これは象牙質との接着をより高めるためにボンディング処理を行う前に、象牙質に対して歯面処理を行うものである。処置としては、脱灰力の低い濃度のクエン酸やマレイン酸、硝酸、リン酸、シュウ酸塩、あるいはEDTA等で切削象牙質面に存在するスミヤー層を除去し、さらにHEMAなどのプライマーでボンディング材の象牙質への浸透を高めることによって強固な接着をはかることが可能となる。
接着性レジンモノマーと有機成分や無機成分との化学的な反応による接着も期待されてはいるが、明確な証拠は示されていない。現在のところ、脱灰象牙質にレジンが浸透して硬化することによって形成される樹脂含浸象牙質による、微細な機械的保持が重要な因子とされている。また、開口した象牙細管内にレジンが侵入して硬化したレジンタグによっても、ある程度の機械的な保持力が発揮されると考えられている。また、樹脂含浸象牙質の形成を確実にするために、セルフエッチングプライマーや、ウェットボンディング法が導入されている。しかしながら、樹脂含浸層内部には、水分の影響などでレジンの浸透が十分でなかったり、レジンの硬化が不十分でなかったりすることもある。
適応症と修復法
審美性が要求される3級、4級、5級、楔状欠損、根面齲蝕、前歯の6級窩洞のほか、前歯舌面1級や臼歯の1級、2級窩洞、さらに矮小歯、前歯切端破折歯、エナメル質形成不全歯、歯冠離開歯の形態修正などの症例、コンポジットレジン冠、前歯のレジンラミネート修復、ポーセレンの修理など適応範囲は広い。それは次のような特徴によるものである。
エッチング材・ボンディング材との併用で歯質との接着が向上するため従来の保持形態を省略できる。
過度の予防拡大が不要で歯質の削除量が少なくてよい。
色調が天然歯に適合しやすい。
科学的に安定した材料である。
短時間での修復が可能。

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